Q&A

Ⅰ 総論

1 「名前」の由来は?

 すみれ自然農園食堂がある場所は、自然がそのままで、春先に綺麗なスミレを見ることができます。スミレは、小さいながらも厳しい冬に耐える宿根草です。種子を遠くに飛ばしたり、アリに運んでもらったりして確実に子孫を残そうとします。また、春の時期以降は、花を咲かせない「閉鎖花」で自家受粉して種子を作るというユニークな性質もあります。花言葉は「小さな幸せ」。この地に見られるスミレの「かわいらしさ」と「たくましさ」にあやかって名付けました。

 

2 「エコ・アグリミュージアム構想」とは?

 1960年代のフランスで、地方文化の再確認と中央集権排除という思想の中で誕生した「生態学」(Ecology)と「博物館」(Museum)を結びつけ、人間と環境との関わりを扱うエコ・ミュージアムが提唱されました。そして、この構想に自然の生命力を基礎とする「農業」(Agriculture)の多面的機能を再認識し、体験、観察、保護する考えをさらに盛り込んだものが、「エコ・アグリミュージアム構想」です。

3 農業の「多面的機能」とは?

 ①国土の保全、②水源の涵養(雨水などが地面にゆっくりと浸透して地下水となること)、③自然環境の保全、④良好な景観の形成、⑤文化の伝承など、農村で農業生産活動が行われることにより生じる、食料やその他の農産物の供給機能以外の多面にわたる機能のことをいいます。

 このため、日本の農業及び里山は、食料の生産を担うだけでなく、国土、水資源、環境、文化、教育、福祉、健康などにおける、現代社会の様々な課題の解決につながる多面的な機能を持つため、市場原理・グローバル化の流れで衰退させるのではなく、今後も保護する必要があるといわれています。

4 「ソーシャル・アグリビジネス」とは?

 地球的・社会的な「農業の課題」の解決に取り組む仕事のことです。すみれ自然農園食堂では、企画事業を通じて「農」を取りまく環境、社会事情などを知ってもらい、参加者に体験・交流などを楽しんで頂きながら課題を解決する「力」と「知恵」も育んでもらいたいと考えています。

5 「農業の課題」とは?

 次のことが、指摘されています。

・世界的な人口増加、アジア諸国などの経済発展化(欧米化)などの他に、仮に原油価格の上昇、円高から円安への移行などによる経済変化が生じた場合、安定した食料輸入が困難となり食料危機の到来が懸念されるようになったこと。

・化学肥料を継続的に使う土地では、土本来の力が衰え、化学合成農薬に依存した栽培方法は、食材の安全性と生態環境の持続性が心配されるようになったこと。

・日本は土地が狭く、また、農家も減少しているため、今後も豊かな食生活を維持するだけの生産体制を維持することが困難になってきたこと。

・日本では「化学物質」である農薬・肥料が諸外国より多く使われているが、使用する農家が必ずしも化学の専門家ではないこと。

・外国に頼るだけでなく、自分達の力で食料を手に入れるため、再び日本の農業に活力を取り戻す努力が求められてきたこと。

・地元の農家が地元の消費者、農協、自治体の協力を得ながら協同して営農を守っていく取り組みが必要になってきたこと。

・収穫量と消費者が求める量が、ちょうどよいバランスにならないと農家は、安定した収入を得られないこと。

・土地を最大限に生かし、安全で栄養価のある農作物を生産する農業が重要になってきたこと。

・天候の変化に左右され、工業生産に対して、農業による食料生産はリスクが高いこと。

6 「化学肥料」に対する考え方は?

 これまで、化学肥料は農業生産に多大な貢献を果たしましたが、化学肥料だけで栽培すると土の中の有機物が減少し「地力」が低下したり、過剰な施肥成分が農作地から流れ出て、河川、地下水などの水質を悪化させるなどの問題が生じました。また、日本は、リン鉱石、尿素の原料の多くを海外から輸入していますが、世界的な資源減少と人工増加に伴う食料増産などを背景に取引価格の上昇を招いています。

 すみれ自然農園食堂は、地域(里山)にある肥料資源を見直し、上手に活用しながら無駄なく循環させ、その農法を持続していくことが、今後の里山の農業には大切だと考えています。

7 「グリーンコンシューマー」とは?

 環境問題に配慮して、商品の選択を行う賢明な消費者のことです。

8 「すがれ追い」 とは?

 地蜂に「すがれ」という目印をつけた餌を持たせ、飛ぶ蜂の後を追いかけて、巣を土中から見つける一種の狩りのことです。かつて、伊那谷では、巣から採れる蜂の子は貴重な蛋白源として重宝されていました。

9 「鎌頭」とは?

 当園担当の♂が肩書きを思案していた時に、「江戸時代、農作業を差配した小作人の頭のことを「鍬頭」(くわかしら)と称していた」ことを知りました。♂は、鍬の扱いが苦手なことから、この呼称をひねって、造語の「鎌頭」(かまかしら)を肩書きとしています。

Ⅱ 農園(圃場)

1 「土」の特徴は?

 農園の土は、「黒ボク土」です。腐植に富み、保水力が強く、そして、柔らかくホクホクしているため、少肥でも根張りがよく、特に芋類や根菜類の栽培に適しています。

2 「もみ殻燻炭」とは?

 稲籾(もみ)の殻を燻炭器(くんたんき)という道具で、蒸し焼きにして形状を維持させたままじわじわと炭化させたものです。土壌改良材としての働きが立証されており、①排水性の向上、②保水性の向上、③酸性土壌のpH改善、④可溶性ケイ酸の供給、⑤有益微生物の増加などの効果があります。

 また、根がよく発達し、細根や根毛が増えることもわかっています。

 すみれ自然農園では、特に⑤の効果である「バチルス菌」などによる有害菌の抑制や「アーバスキューラー菌根菌」(AM菌根菌)という植物の根に共生する有益菌によるリンの供給という『小さな生物』の大きな働きを大切にしたいと考えています。

3 「炭素重点循環農法」とは?

 植物の生育に不可欠で、「必須多量要素」となっている元素は、炭素、水素、酸素、窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄の順番ですが、近代農法は、窒素・リン酸・カリという「肥料3要素」を重点にしています。

 これに対し、この農法は、自然界に広く存在し、あらゆる生物に必要な「 炭素 」に重きを置いて、施肥という考えより、①「光合成」(酸同化作用)という植物が持ち得た自然生産力を大切にし、②炭素分の多い自然物を利用して多様な耕地生態系を作り、③作物と圃場生物を共栄させる自然農法です。

 里で身近に手に入る藁(わら)、籾(もみ)、落葉、草や人が作った「」などを用いることから別名を「里山農法」とも呼びます。

 なお、すみれ自然農園では、ご近所にナメコやシメジの生産工場があるため、「食用キノコの廃菌床」も有効に使用しています。(有効利用により、地域から排出される「産業廃棄物」の軽減につなげています。)

4 「食用キノコの廃菌床」とは?

 ナメコやシメジの人工栽培に使われていたキノコを育てるための倍地です。広葉樹のチップ、米ぬかなどが原料なため、家畜糞に比べ炭素分が多いのが特徴です。

 ただし、工場から排出されて間もないものは、未分解の木質物が含まれており、そのまま圃場に鋤き込むと、分解途上で発生する有害成分と「窒素飢餓」による生育障害が発生します。このため、使用する際は、じっくりと熟成させる堆肥化が必要となります。

 すみれ自然農園では、この廃菌床を6ヶ月以上かけて堆肥にしますが、その間にカブトムシが卵を産み付け、生育する幼虫が完熟にしてくれますので、「土づくり」には最適なものになります。

 なお、近年の研究で、カブトムシ(幼虫)の腸内細菌には、空気中の窒素を取り込む能力があり、木くずを食べても、糞には窒素分が含まれていることが明らかになっています。

5 「窒素飢餓」とは?

 未分解の有機物を鋤き込むと微生物による急激な分解が始まり、有機物を分解しようとする微生物と作物との間で、土の中の窒素成分を取り合う現象が起こります。この現象により、一時的に作物が窒素不足になることを「窒素飢餓」と言いますが、炭素率の多い未分解有機物(生藁など)を施用した場合は、特に起こりやすくなります。

 すみれ自然農園では、炭素分の多い自然物を利用する場合は、土に鋤き込まずに畝面に有機マルチとして積み載せる方法を取っています。「草生栽培」とあわせて行うと、天敵の棲み家を増やし、土はねも少なくなりますので、結果として病害虫の発生も軽減されます。

6 「草生栽培」とは?

 雑草を除草剤などで防除したり、耕耘して圃場地面をきれいにする「清耕栽培」に対し、イネ科、マメ科などの緑肥植物や強害性のない野草を生やして雑草を管理する栽培方法のことをいいます。この方法は土壌有機物の供給源となり、圃場の生物相を豊かにするため、環境にやさしい政策をとっているヨーロッパの国々では広く取り入れられています。

 また、傾斜面では降雨による土壌流亡を防ぐ効果もあります。このため、すみれ自然農園では、この「草生栽培」は、中山間地での農業に有効な方法だと考えています。

 なお、近年、大学の研究機関により、この草生栽培を「不耕起栽培」と組合わせることで、土の持つ機能がさらに向上することが報告されました。

7 「エコファーマー」とは?

 エコファーマーとは、堆肥等を使った土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用量を低減させる取組を一体的に行う計画を立て、その計画が県知事に認められた農業者のことです。

 なお、すみれ自然農園では、有機JAS法で使用が認められている資材を除き、化学肥料と化学合成農薬を使用せずに栽培を行っています。

Ⅲ 店舗(食堂)

1 「便所開き」とは?

 人間が、山から切り出した「木」は、茶室に使われれば茶の香りを楽しめるのに対し、便所に使われれば、その至福を楽しむことはできません。「便所開き」は、昔の人達が自然を敬い、木への感謝を込めてきた儀式である言われています。

 また、新居の「便所」には、その家の住人を守るために「厠(かわや)の神様」が降臨されますので、家族の末永い安泰を祈って神様と茶を厳かに頂く風習としても伝わっています。

 なお、厠の神様は、水とお産に関係する神様であるため、その場所をいつも清浄に保てば、家族が健康で子孫繁栄につながるという「縁起」があります。

 すみれ自然食堂は、店舗のお披露目の際に地域とのよき「御縁」を結び、よりよき「円」(循環)が広がることを記念して、長野県で初めてこの儀式を執り行いました。

2 「ハレ」とは?

 いつもどおりの日常的な生活を送る日を「ケ」の日と呼ぶのに対して、神社の祭礼、正月、節句、七五三などの伝統行事、冠婚祭、特別な祝い事などを行う日を「ハレ」の日と呼びます。

3 「京間」とは?

 畳割りでは、一畳が6.3尺×3.15尺の大きさとなり、この畳を使った部屋は「京間」となります。これに対して、江戸間の一畳は5.8尺×2.9尺になりますので、同じ十畳でも、広さは小さくなります。 (*一尺≒30.3cm)

4 お席料が無料となる「和装」とは?

 古くから日本で用いられてきた様式の衣服で、着物、浴衣、作務衣、袴着の「和服」を指します。

5 「仏滅」が休みの理由は?

 すみれ自然食堂を町一番の「縁起」のよい店としているためです。

6 「里山の食事」とは?

 「耕す調菜人」が、飯島町の里山で、まぶしい太陽の光、澄んだ空気、アルプスから流れる清らかな水で育まれた旬菜をたっぷりと使って、食べた人が「幸せ」になるようにと願って調理する「お任せ健康メニュー」のフルコースです。

Ⅳ 伝統行事・風物について

1 「繭玉飾り」とは?

 蚕(かいこ)の繭(まゆ)を模して作った色とりどりのお団子をサカキ、ヤナギ、ミズキなどの枝にさして飾ったもので、蚕の成長や農作物の豊作を祈って行われる信州の伝統的な風習の一つです。

2 「社日」(しゃにち)とは?

 春分(3月21日頃)と秋分(9月23日頃)に最も近い戊(つちのえ)の日を「社日」といいます。この日は「土」の神様をお祀りするので、農作業などで土をいじることを忌み嫌う(いみきらう)日とされました。春と秋のそれぞれの社日は、「種まき」の時期と「収穫」の時期にあたります。

 そのため社日は重要な節目と考えられ、春は五穀の種子を供えて豊作を祈り、秋は初穂を供えて収穫を感謝するようになりました。信州では「お社日様」といい、春は神様を迎え、秋は神送りとして餅をついて祝います。

3 「伊那のばか風」とは?

 特に4~5月頃に低い地域から吹いてきた南風が、伊那谷の狭い谷間で押し縮められて、一気に標高の高い方にめがけて吹き上がる強い突風のことです。

4 「えびす講」とは?

 商家、農家などが繁盛、豊作などを祈願して、福徳の神様である「恵比寿様」をお祀りする行事です。神無月(10月)は、日本中の神様が出雲大社に出向き、恵比寿様だけが留守をするとされたため、お気の毒な恵比寿様を慰めようということから始まったといわれています。

 行われる日は地方によって異なり、関東では10月20日に行う地域が多いのに対し、農村部では農閑期の12月8日に「百姓えびす」を行うところもあります。

 長野県の上伊那地方では、留守役を解かれた恵比寿様が出雲大社に出発する11月1日の朝は、お宝を沢山お持ち帰り頂けるようにと願って、「あんこ」を入れない「米粉のおやき」を作ってお供えし、お帰りになる11月20日に「えびす講」を行い、「あんこ」をいっぱい入れた「米粉のおやき」を一升桝に納めてお供えするという風習が残っています。

 なお、恵比寿様は、「エビで鯛を釣る」ことから、小さな元手で大きな利益が得られるという縁起で、漁村では豊漁の神様、商家では商売繁盛の神様、そして、農村では豊穣の神様(かまどや田の神様)として信仰されています。

5 「宵(よい)えびす」とは?

 主に農村で行われる「えびす講」の前の晩に「肴(さかな)」を供えて、お祝いする行事です。

6 「酉の市」(とりのいち)とは?

 11月の酉の日に開運招福、商売繁盛を家に取り込むこと願う祭りです。農具の熊手や稲穂を飾り、八人の頭(かしら)になれるようにとヤツガシラ(サトイモ)や黄金餅(粟餅)を食べる風習があります。

7 「亥の子」とは?

 多産なイノシシにあやかって子孫繁栄を祈願し、収穫を祝って「亥の子餅」を食べる風習です。旧暦十月の亥の日、亥の刻(午後9時~11時)に行われますが、もともとは古代中国の宮廷儀式に由来します。

 亥の子餅は、餅に大豆・小豆・ササゲ・ゴマ・栗の粉と柿と砂糖を加えたもので、食べると無病息災になるといわれています。また、茶をたしなむ家では、この日に「炉開き」をし、新茶の「口切り」を行います。