SDGsの取組み

●SDGs(エスディージーズ)」とは
 「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーたちによって決められた、2030年を年限とする「国際社会共通」の目標です。

 そして、その目標の下に「17のゴール」と「169のターゲット」が決められ、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

●私たちの取組み
 すみれ自然農園食堂は、世界の仲間たちとともに「地球環境再生のために、持続可能な資源循環を実践し「脱炭素」による地球温暖化問題の解決(Cool Earth)と環境汚染問題の解決(Clean Earth)」を目指します。
 そして、地域の仲間とともに「伊那谷」の自然環境を生かしながら、消費者の願いに応える安全でおいしい作物を育てるために、常に新しい学術知見を取り入れ、未来へ向けて進みます。
●具体的な取組み
 様々な事情で日常生活にお困りの方に食糧を無償で配布する「飯島町社会福祉協議会フードバンク」、「飯島町いいちゃん健康ポイント」、「子ども食堂」などに協力し、「信州食育発信3つのレストラン」として、お客様の健康を考えたメニューを提供しています。また、子育て中のお母さんも応援しています。
 地元中学生の職場体験や県外・国外中高生の農泊を受け入れ、信州の「農」から「食」の魅力を伝えます。また、日本の農業及び里山は、食料の生産を担うだけでなく、国土、水資源、環境、文化、教育、福祉、健康などにおける、現代社会の様々な課題の解決につながる多面的な機能を持つため、市場原理・グローバル化の流れで衰退させるのではなく、今後も守る必要性があることも伝えています。
 男女協同参画社会基本法に基づき、女性が対等なパートナーとして経営等に参画できるようにするため、男女協同参画と農業経営の改善を一体的に推進する『家族経営協定』を2018年1月19日に締結しました。
 自然に還る地域の有機資源を有効活用し、外部からの資源持込みの軽減、環境劣化の緩和などを図っています。具体的には、次のような「里山資源」を循環させ、作物を栽培しています。
1 ナメコ廃菌床:近隣の工場から排出されるものを堆肥化し、完熟したものを畑の「土づくり」に使用しています。
2 もみ殻:町内のコメ農家から出たものは、播種後のマルチに使用し、手作りで燻炭にしたものは、苗作りのための培養土と畑の「土づくり」に使用しています。
3 米糠(コメヌカ):コメ精米時に出る糠は、秋から春に畦間に散布しています。また、麹菌で発酵させてボカシ肥を作り、追肥用に使用しています。
4 栗(クリ)の木:町内の栗園から頂いた剪定枝は、薪ストーブで燃やし、灰は圃場の「酸度調整」と「ミネラル供給」に使用しています。
5 藁(ワラ):秋に近隣の農家から頂いた藁束は、乾燥防止と雑草抑制の畝マルチとして利用しています。
6 葦(アシ):夏に地区の共同作業で刈り取った河川の葦を譲り受けて、畦間の草抑えのマルチとして使用しています。なお、葦の茎が中空のため、分解されやすく、表土を柔らかくします。
7 野菜クズ:収穫や調理の際に出る野菜クズなどは、「コンポスト箱」で発酵分解させた後に畑の肥やしとして利用しています。 
8 この他には、落葉、刈草や農産加工所から廃棄されるタケノコの皮なども有機資源として有効に活用しています。
 産業廃棄物、化石燃料、食品ロスなどの課題を意識して、解決に向けた工夫をしています。具体的には、次のように実践しています。
1 引き取り手のないキノコの廃菌床やもみ殻は「産業廃棄物」となり、産廃施設で燃やせば「炭酸ガス」の発生を招きます。しかし、自然循環の中に落とし込めば、その発生を抑え、土を豊かにすることができるので、有効な活用法(里山農法)を農業で実践し、その効果を「伊那谷オーガニック・クラブ」で紹介しています。
2 農業では機械による耕起が一般的ですが、「輪作」による「不耕起栽培」を採用し「化石燃料」の使用軽減を図っています。
3 ビニールマルチは、野菜栽培に有効な資材ですが、捨てる際は「産業廃棄物」となるため、敢えて藁などを有機マルチにしています。
4 自宅の暖房は化石燃料に頼らず、町内にある栗園の「剪定枝」を薪ストーブの燃料として利用し、「木灰」は畑の肥料として活用しています。5 食堂での料理提供では、予約時に「食べられないもの」や「苦手なもの」を聞き取ったり、お客様の御要望に応じて、ごはん、おかずの量を調節したりして、食品ロスの削減に取り組んでいます。また、調理の際に出た野菜クズなどは「燃えるゴミ」として出さず、すべてを「コンポスト箱」に投入し、もみ殻、落葉などと混ぜて堆肥にしています。
(注)国連食糧農業機関(FAO)によると、現在、世界の年間食料生産量の3分の1に相当する約13億トンが失われたり、廃棄され、食品ロス・廃棄は全世界の温室効果ガス排出量のおよそ8%を発生させるといわれています。
 海洋の汚染と富栄養化の課題は、沿岸地域だけで解決できないため、森と海を結ぶ協調的な取組みが必要です。天竜川が流れる信州伊那谷に住む者として、日常生活では食器を洗う際の油汚れなどの拭き取りやビニール・プラスチック類の管理や過剰施肥よる「水」汚染とならない栽培管理を心掛けています。また、家の前に流れる用水路に落葉止めを設置し、流れる木の葉や刈草の他にビニールゴミなどの回収にも努めています。
 陸の自然生態系を守るカギは、「生物多様性」の保全が欠かせません。今、世界では、農地の砂漠化、塩類集積による不毛化などによる「土壌劣化」が進んでいます。この原因には、森林伐採による農業の大規模開発化、大型機械投入による土壌流亡の弊害化などが挙げられています。
 このため各国の研究機関は、表土の流亡を防ぐ栽培方法や土を豊かにする土壌微生物を増やす研究を進め、土地劣化や生物多様性損失の阻止が図られています。
 日本での認知は、まだ低いですが、土の団粒化の促進、保水性の向上、流亡防止の効果などが報告されている「不耕起栽培」と多様な土壌微生物を増加させる効果のある炭素分の多い有機物の「表面施用」を組み合わせた栽培方法を実践しています。
 また、土の保水性や通気性を改善し、土壌微生物の棲みかとなる「もみ殻燻炭」を圃場に散布し、土の改良の他、植物に有効なAM菌根菌などを増やす工夫もしています。

 今、地方では農家の減少が著しいですが、大規模化が難しい中山間地では「小農」による活躍が期待されています。すみれ自然農園食堂以外にも、苦労と工夫で「有機農業」を実践している仲間がいます。彼らの作るものには、隠れた「」(ちほう)の価値が存在します。見た目より「持続性重視」で応援して頂ければ幸甚に存じます

●私たちが「食」を意識して選ぶことは 未来の「地球」への一票です