1地宝の郷土資源「薪」と「灰」

 灰は、薪などが燃え尽きた後に残る粉末です。昔は、山の木々などを燃料とし、灰は燃えカスとして捨てるのではなく「自給肥料・自給資材」として、田畑に散布したり、草木染めやワラビのアク抜きなどに用いたりしました。その当時は、化学的な働きがよく分からなくても、長年の観察でその効果を感じ取ったのでしょう。今でこそ、灰はカリウム、カルシウムなどのミネラルの宝庫である自然の「アルカリ資材」であることが知られています。
ここ信州の里山には、様々な燃やせる有機物があります。栗やリンゴなどの剪定枝の灰にはカルシウムが、竹、もみ殻や稲わらなどイネ科植物の灰にはケイ酸が、多く含まれています。いずれも植物の体を強くする有効な成分です。
灰は、「里山農法」に欠かせない自然の資材・肥料です。畑や田に循環させると、酸性土壌を改良し、ミネラル分を供給して作物を美味しくし、病害虫に強い作物を育みます。
「薪と灰」のある暮らしを見直せば、まさに「持続可能な」“sustainable”生き方に繋がります。

2021年09月19日