7地宝の郷土資源「廃菌床」

 信州はキノコ王国。廃菌庄とは、キノコ工場から排出される菌床です。この菌床は、ナメコやシメジなどの人工栽培に使われていたキノコを育てるための倍地で、広葉樹のチップ、トウモロコシの軸、米ぬかなどが原料のため、家畜糞に比べ炭素分が多いのが特徴です。ただし、工場から排出されて間もないものは、未分解の木質物が含まれており、そのまま圃場に鋤き込むと、分解途上で発生する有害成分と「窒素飢餓」による生育障害が発生してしまいます。このため、よくかき混ぜて、じっくりと熟成させる堆肥化が必要となります。

 信州の里山で、この廃菌床を6ヶ月以上かけて堆肥にすると、その間にカブトムシが卵を産み付け、生育する幼虫が「熟成」してくれます。黒く「完熟」したものを田畑に入れると腐植が増えて、土の団粒化が進みます。まさに「土づくり」には最適なものとなります。
 なお、近年の研究で、カブトムシ(幼虫)の腸内細菌には、空気中の窒素を取り込む能力があり、木くずを食べても、糞には窒素分が含まれていることが明らかになっています。
 自然の「持続可能な」“sustainable”営みは、すごいですね!

2021年09月25日