昔話から知る「農作業」(桃太郎編)

 7月は桃の季節。日本には有名な「桃太郎」の昔話があります。

 『むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。まいにち、おじいさんは山へしば刈かりに、おばあさんは川へ洗たくに行きました。』

 さて、ここで出てくる「しば刈り」。「芝」ではなく「柴」を刈ることです。おじいさんは、山野に自生する雑木の小枝を刈り取りに行くのですが、・・・
 この小枝を何に使うのでしょうか。炊事やお風呂の炊きつけに使う「焚き木」というイメージがありますが、桃の季節のこの時期は、雨が多く燃料には適しません。

 時代考証の専門家によると、この季節に刈る柴は「葉付き」のもので、畑の「マルチ」に使っていたとのことです。ビニールがない頃の「草抑え」です。昔の人は、季節に応じて「柴」を上手に使っていたので、里山はきれいに管理されていました。

 今は、どうでしょう?里山はうっそうと茂り、悪いおじいさんが、使い古しのビニールマルチを山へ埋めに行くこともあるそうです。残念なことです。

 すみれ自然農園食堂は、里の循環を大切にした農業が大好きです。たとえ非効率といわれても、意義のある手間が楽しく感じられます。桃太郎のおじいさんとおばあさんのように里で暮らすこと・・・、昔話から学ぶことは、たくさんあるかもしれません。

2022年07月17日